熱帯魚のエアレーション|ヒーター水槽で酸素を切らさない考え方

ヒーターの入った熱帯魚の水槽でエアストーンから泡が立つ様子と、熱帯魚のエアレーションを紹介する記事タイトル

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熱帯魚の水槽をそろえる時、『ヒーターとフィルターは買ったけど、エアーポンプも要るの?』と迷いますよね。

結論から言うと、熱帯魚のエアレーションは、魚の数とフィルターの水の動きしだいです。ただ、ヒーターで水を温めている水槽は、もともと酸素が溶けにくい側にあるんです。

この記事では、ヒーター水槽ならではの酸素の考え方と、魚の種類と数から判断する表をお伝えしますね。

目次

熱帯魚にエアレーションは必要?先に結論

先に結論

熱帯魚の水槽は、ヒーターで水温を高めに保つぶん、水に溶ける酸素の上限が低めです。魚が少なく、フィルターの排水で水面がしっかり揺れていれば、エアーポンプなしでも足りることがあります。魚が多い・水面が静か・夏に水温が上がる水槽では、エアレーションを足すと安心です。

『熱帯魚ってブクブクが付いているイメージがあるけど、本当に要るの?』という方も多いはずです。

実は、熱帯魚の水槽にエアーポンプが要るかどうかは、魚の種類より「水槽の中の酸素のつり合い」で決まります。

エアレーションがしてくれること

エアレーションは、エアーポンプで水の中に空気を送り、泡で水を動かすことです。泡が上がる時に水面が揺れて、空気から酸素が入りやすくなります。

GEXは、エアーポンプのメリットとして、酸素を送ること以外に、水面の油膜の除去、水温の上昇を和らげること、水質の安定を挙げています。

エアレーションの働き熱帯魚の水槽での意味
酸素を足す魚とバクテリアの呼吸を支える
水面を動かす空気から酸素が入りやすくなる
水を回す水槽の中の温度のむらを減らす
油膜を減らす水面がふさがれにくくなる

エアレーションの仕組みそのものはエアレーションとは?で紹介しています。

ヒーター水槽は酸素が溶けにくい側にある

ここが、熱帯魚のエアレーションを考える時にいちばん大事なところです。

水に溶ける酸素の量には上限があり、水温が高いほど少なくなります。熱帯魚の水槽は、ヒーターで一年じゅう水温を高めに保っているので、いつも上限が低めの状態なんです。

水温(淡水・1気圧)水に溶ける酸素の上限
18℃9.47mg/L
20℃9.09mg/L
24℃8.42mg/L
26℃8.11mg/L
28℃7.83mg/L
30℃7.56mg/L

この表は、JIS K 0102:2016の飽和溶存酸素の値です。

テトラ(スペクトラム ブランズ ジャパン)は熱帯魚の適温を26℃前後と案内し、キョーリンは熱帯魚の多くは23〜28℃が必要としています。表と見比べると、熱帯魚の水槽は常温の金魚やメダカの水槽より、酸素の入る余地が小さいことが分かりますね。

ヒーターで水温を高く保つ熱帯魚の水槽は、水温が高いほど水に溶ける酸素の上限が下がることを示した図解

夏はさらに上限が下がる

ヒーターは、水を温めることはできても冷やすことはできません。コトブキ工芸も、ヒーターやサーモスタットは水温を上げることはできても、下げることはできないと説明しています。

夏に部屋の温度が上がると、ヒーターの設定より水温が高くなることがあります。コトブキ工芸は、エアーポンプを使う場面として、夏場の高水温で溶存酸素が少ない時を挙げています。

よくある失敗

冬に問題なかったから、夏もエアーポンプなしで大丈夫と考えてしまうことです。水温が上がる時期は、酸素の上限も下がります。夏の対策は夏のエアレーションで紹介しています。

ヒーターはサーモスタットとセットで

コトブキ工芸は、熱帯魚の保温器具について、ヒーターだけではなく、水温を調節するサーモスタットに接続して使うよう案内しています。

水温が上がりすぎると酸素の上限も下がるので、水温を一定に保つことは、酸素を保つことにもつながっているんです。

立ち上げたばかりの水槽は少しずつ

テトラは、水槽をセットしたばかりの頃は水をきれいにするろ過バクテリアが少なく、水質が悪化しやすいと説明しています。最初の1か月は様子を見ながら、魚を少しずつ増やしていくよう案内しています。

バクテリアも酸素を使って汚れを分解しています。立ち上げの時期にエアレーションを付けておくと、魚とバクテリアの両方に酸素の余裕を作れます。

立ち上げの時期に気をつけたいこと
  • 最初から魚をたくさん入れていない
  • 水が白くにごっていないか毎日見ている
  • エサを入れすぎていない
  • フィルターを止めたり、ろ材を洗いすぎたりしていない

魚の種類と数から判断するエアレーションの要否

熱帯魚のエアレーションが要るかどうかは、「どんな魚か」と「何匹いるか」の2つを合わせて見ると判断しやすくなります。

魚のタイプ主な例少なめに飼う時多めに飼う時
空気を吸える魚ベタ・グラミーなしでも飼える水面に出られる空間を残す
小型で群れで泳ぐ魚ネオンテトラ・アカヒレフィルターの水面の揺れがあれば足りやすいエアレーションを足す
稚魚が増えやすい魚グッピーフィルターだけで足りやすい数が増えたら足す
体の大きな魚大型の熱帯魚水量しだいエアレーションを足す
熱帯魚のタイプと数の組み合わせで、エアレーションが要るかどうかを判断する表の図解

例えばこんな水槽ならどう考える?

表を、よくある熱帯魚の水槽に当てはめてみます。自分の水槽に近いものを探してみてください。

よくある水槽判断の目安理由
小さな容器にベタを1匹なしでもよい空気を吸え、強い水流が苦手
60cm水槽にネオンテトラを少し、外掛けフィルター水面が揺れていればなしでもよい魚が少なく排水で酸素を補える
60cm水槽に小型魚をたくさん付けると安心数が多く酸素を多く使う
水草が多くCO2を添加している水槽夜だけ付ける考え方もある夜は水草も酸素を使う

ベタ・グラミーは空気を吸える

キョーリンは、ベタやグラミーなどアナバスの仲間は、水面から空気呼吸ができるラビリンス器官を持っていると説明しています。

テトラも、ベタはエアポンプやフィルターがなくても飼育が可能としています。一方で、コトブキ工芸はベタは強い水流を嫌うと説明しているので、付けるなら泡はごく弱めにしましょう。くわしくはベタのエアレーションで紹介しています。

ネオンテトラなど小型の群れの魚

ネオンテトラやアカヒレのような小型の魚は、1匹あたりの酸素の量は少なめです。ただ、群れで飼うことが多いので、数が増えると水槽全体では酸素をたくさん使います。

『小さい魚だから、何匹入れても平気』と思いがちですが、数で考えるのがポイントです。小型魚の水槽の考え方はネオンテトラ・アカヒレのエアレーションで紹介しています。

グッピーは数が増えた時に見直す

グッピーは、水槽の中で稚魚が生まれて数が増えやすい魚です。始めた時はフィルターだけで足りていても、数が増えると酸素が足りなくなることも。稚魚がいる水槽の泡の考え方はグッピーのエアレーションで紹介しています。

泳ぎ続ける魚もいる

海遊館は、魚がえらに水を流す方法には、口とえらぶたの動きで水を送る方法と、泳いで口から水を取り込む方法があると説明しています。後者の魚は、呼吸のために泳ぎ続けないといけないそうです。

熱帯魚の中にも、水槽の中をずっと泳ぎ回る魚がいますよね。泳ぎ回る魚が多い水槽ほど、泡で泳ぐ場所をせばめないよう、エアストーンは端に置くのがおすすめです。

ポリプテルスのように空気を吸う魚も

水族館の生き物図鑑では、ポリプテルス・エンドリケリーは、えら呼吸に加えて頭の上の呼吸孔から空気呼吸もできると紹介されています。こうした魚は、水面に上がれる高さを残しておくことが大事です。

フィルターだけで足りる?エアーポンプなしの熱帯魚水槽

『熱帯魚はエアレーションなしでも飼えるって聞いた』という方も多いですよね。

フィルターの排水で水面がしっかり揺れていれば、エアーポンプなしでも酸素が足りることがあります。

ここが大事なところです

テトラは、外掛けや上部フィルターの排水口を水面近くに付けると、ほどよく水面が揺れて酸素の補給になると説明しています。さらに、排水口を水面の上に出すと、落ちる水が空気を巻き込んでエアレーションの効果があるとしています。

外掛けフィルターの排水で水面が揺れる熱帯魚の水槽。エアーポンプなしでも水面の揺れで酸素を補える例

エアーポンプなしにできるかのチェック

熱帯魚の水槽をエアーポンプなしにできるかの確認
  • 魚の数が、水槽の大きさに対して少なめ
  • フィルターの排水で、水面が目で見て分かるくらい揺れている
  • 夏でも水温がヒーターの設定より上がりにくい部屋に置いている
  • 水草が多すぎず、夜に酸素が足りなくなる心配が少ない
  • 朝、魚が水面に集まって口をパクパクしていない

全部に当てはまれば、熱帯魚のエアレーションなしでも始めやすい状態です。1つでも外れたら、エアーポンプを足すことを考えてみてください。

フィルターとエアレーションは役割が少し違う

フィルターは水をきれいにするための道具で、エアレーションは酸素を足すための道具です。

テトラは、ろ過装置が動くことで水槽内に酸素が取り込まれ、バクテリアの増殖が促されると説明しています。水をきれいにするバクテリアも酸素を使うので、酸素とろ過はつながっているんです。

フィルターだけで飼う
  • 機材が少なく、音も小さめ
  • 水面が揺れていれば酸素も補える
  • 魚が少ない水槽に向く
エアレーションも足す
  • 機材とコンセントが1つ増える
  • 酸素に余裕ができ、魚が多い水槽にも対応しやすい
  • 夏の高水温の時期も安心しやすい

2つの役割の分け方はエアレーションとフィルターの違いでくわしく紹介しています。

水草水槽は夜の酸素に気をつける

水草をたくさん入れた水槽では、水草が夜に呼吸して酸素を使います。テトラも、水草は夜間は呼吸をするので酸欠になることもあると説明しています。

ADA(アクアデザインアマノ)は、水草水槽のCO2添加は照明の点灯でON、消灯でOFFにし、1日約8時間程度の規則正しい添加が基本と案内しています。同じ記事の水槽の例では、夜の消灯中にエアレーションをしていました。昼はCO2、夜はエアレーションという使い分けもできるんです。

熱帯魚のエアーポンプの選び方と付け方

熱帯魚にエアーポンプを使うなら、水槽の大きさに合ったものを選び、安全に付けることが大切です。

水槽の大きさに合わせて選ぶ

エアーポンプには、メーカーが適合水槽の大きさを示している製品があります。例えば、テトラのコンフォートエアーシリーズは、次のように分かれています。

製品名適合水槽吐出口の数
テトラ コンフォートエアー 3030cm以下1
テトラ コンフォートエアー 4545cm以下1
テトラ コンフォートエアー 6060cm以下2
テトラ コンフォートエアー 9090cm以下2

GEXは、エアーポンプから出る空気の量は、水深やエアーストーンの種類、チューブの長さや分岐のしかたで変わると説明しています。表示どおりに出るとは限らないので、少し余裕のあるものを選ぶと安心です。選び方の基準は水槽用エアーポンプの選び方で紹介しています。

安全に付ける手順

熱帯魚の水槽にエアーポンプを付ける流れ
  1. エアーポンプを水面より高い位置に置く
  2. 低い位置に置くなら、チューブに逆流防止弁を付ける
  3. エアーチューブでポンプとエアストーンをつなぐ
  4. エアストーンをヒーターから少し離して置く
  5. 電源コードは水がつたわらないよう、たるみを作ってからコンセントへ
  6. 泡の強さを見て、魚が流されていないか確かめる

GEXは、水槽より高い位置のコンセントを使い、やむを得ず低い位置のコンセントを使う時は電源コードにループを作るよう案内しています。電気まわりは、製品の取扱説明書もあわせて確認してくださいね。

補足

エアーポンプを布やタオルでおおうと、熱がこもります。音が気になる時も、かぶせずに置き場所や敷物で工夫してみてください。

ポンプが止まった時の備え

エアーポンプは電気で動くので、停電の時は止まってしまいます。ヒーターやフィルターも同じです。

コトブキ工芸の充電式エアポンプ「オキシー 2800」は、停電の時にバッテリーでの運転に自動で切り替わるそうです。動く時間は約8時間、省エネモードなら約16時間と紹介されています。

停電が心配な地域なら、こうした製品を候補にするのも一つの方法です。旅行や長く家をあける時の備えは旅行・長期不在の時の水槽で紹介しています。

世話の手間が気になってきたら

熱帯魚の水槽は、ヒーター・フィルター・エアーポンプと機材が多く、水温や泡の様子を毎日見ることになります。

毎日の世話や機材の点検まで任せたいなら、メンテナンス付きの水槽レンタルという選び方もあります。自分で育てる楽しみと、手間を減らすことのどちらを大事にしたいか、一度考えてみてもいいかもしれません。

水槽レンタル

水槽のお世話まで任せたいなら、メンテナンス付きの水槽レンタルも

水換えやコケ取り、エアーポンプやフィルターの点検まで、プロが定期的に訪問して整えてくれる水槽レンタルという選び方もあります。自宅やオフィスに置けるか、対応エリアやプランの内容をまずは公式サイトで確かめてみましょう。

公式水槽レンタルの公式サイトを見る

(水槽レンタルサービスの公式サイトに移動します。最新の内容は公式サイトで確認してください)

よくある相談:熱帯魚のエアレーションの声

ここでは、ネットの相談サイトに寄せられている熱帯魚のエアレーションにまつわる声から、よく見られるものを要約して紹介します。

相談1 熱帯魚の水槽にはヒーター・フィルター・エアレーションが全部要る?

熱帯魚の水槽には、ヒーター、水温計、ろ過フィルター、エアレーションが基本的に必要なのか、という相談です。

ヒーターとフィルターは、熱帯魚を飼うための基本の機材です。テトラも、そろえる道具として水槽・カルキ抜き剤・照明・フィルター・ヒーターなどを挙げています。

回答のポイント

エアレーションは、魚の数とフィルターの水面の揺れで判断します。魚が少なく水面がしっかり揺れていれば、最初はなしで始めて、様子を見て足すやり方でも大丈夫です。

相談2 外掛けフィルターで水がバシャバシャ落ちている。ブクブクは要る?

外掛けフィルターの排水が滝のように落ちていて、エアレーションも必要なのか、という相談です。

テトラは、排水口を水面の上に出すと、落ちる水が空気を巻き込んでエアレーションの効果があると説明しています。水面がよく動いていれば、酸素を足す働きはすでにあると考えられます。

『それなら、ブクブクはいらない?』と思いますよね。魚の数が少なく、朝に水面でパクパクしていなければ、まずはそのままで様子を見てみてください。

相談3 水面に細かい泡がたくさん残っている

熱帯魚の水槽の水面に、細かい泡がたくさん残っている、これは何か、という相談です。

水面に泡が消えずに残る時は、水面の汚れや油膜が関わっていることがあります。GEXは、エアーポンプのメリットの一つに水面の油膜の除去を挙げています。

「エアレーションで泡が増えたんでしょうか?」
「まずは、泡がいつから出ているか、エサの量が増えていないかを確かめてみましょう」

水面の泡や油膜の見方と対策は、水槽の泡が消えない・油膜が出る時で順番に紹介しています。

相談4 熱帯魚を始めたばかり。エアレーションって何?

熱帯魚を飼い始めたばかりで、エアレーションという言葉の意味が分からない、という相談も多く見られます。

エアレーションは、エアーポンプで水の中に空気を送り、ぶくぶくと泡を出すことです。ブクブクと呼ばれることも多いですね。

泡が上がる時に水が動き、水面が揺れて、空気から酸素が入りやすくなります。最初は『酸素を足して、水を動かすための道具』と覚えておけば十分ですよ。

よくある質問

熱帯魚の水槽で、エアーポンプなしでも飼えますか?

魚が少なく、フィルターの排水で水面がしっかり揺れていれば、エアーポンプなしでも飼えることがあります。夏に水温が上がる時期や、魚が増えた時は、エアーポンプを足すことを考えてみてください。

エアレーションは夜だけ回すのでもいいですか?

水草が多い水槽では、夜に酸素が減りやすいので、夜だけ回す使い方もあります。CO2を添加している水槽では、昼はCO2、夜はエアレーションと分けて使う例もあります。

エアストーンはヒーターの近くに置いてもいいですか?

泡で水が回ると水槽の温度のむらは減りますが、ヒーターとエアストーンは少し離して置くと、それぞれの働きを確かめやすくなります。ヒーターの取扱説明書の注意も確認しておきましょう。

エアーポンプの音が気になります。熱帯魚の水槽で静かに使う方法は?

ポンプを水槽台など振動が伝わりにくい場所に置く、布をかぶせずに柔らかい敷物を使う、泡を少し絞るといった工夫があります。静音をうたう製品を選ぶのも一つの方法です。

熱帯魚の水槽で、エアーポンプはどのくらいの強さがいいですか?

魚が流されず、水面がゆるやかに揺れるくらいが目安です。強すぎる時は調整バルブで絞ってみてください。

まとめ

熱帯魚の水槽は、ヒーターで水温を高めに保つぶん、水に溶ける酸素の上限が低めです。

魚の種類と数、フィルターの水面の揺れを見て、足りなさそうならエアレーションを足しましょう。夏は特に、酸素が減りやすい時期です。

この記事の要点
  • ヒーター水槽は、水温が高いぶん酸素が溶けにくい側にある
  • エアレーションが要るかは、魚の種類と数で判断する
  • フィルターの排水で水面が揺れていれば、エアーポンプなしでも足りることがある
  • 夏や魚が増えた時は、エアーポンプを足して酸素に余裕を作る
  • ポンプは水面より高く置き、コードにはループを作る
エアレーションドットコム

エアレーションドットコム 編集部

水槽のエアレーション(ブクブク)について、必要かどうかの判断、エアーポンプやエアストーンの選び方と使い方、メダカ・金魚・熱帯魚・エビなど生き物ごとの考え方を、公的機関とメーカーの公開情報をもとにやさしく整理しているサイトです。 公式サイト

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